今回は緑と水辺の自然環境が魅力の江戸川区です。
具体的にどんな街なのか、代表的な駅や施設を、データも交えてご紹介したいと思います。
江戸川区の良い点、気になる点に加え、実際に住むとどんな生活が送れるのか、具体的なイメージもしていますので、是非住まい探しの参考にしてください。
【記事を書いた人】
ぴっちー
✔︎ 都市銀行で不動産担保評価実務経験10年以上
✔︎ 不動産売買契約は10回以上経験
✔︎ ファイナンシャル・プランニング技能士1級
1.概要
江戸川区は23区の西側は江東区、墨田区、葛飾区、東側は市川市、浦安市と隣接しています。
代表的なエリアとしては都心のベッドタウンとして人気の葛西や、ディープな街として飲み屋街がテレビでも取り上げられる小岩などがあります。
区全体が居住地域となっていて、その中でも葛西地区は交通アクセスの良さから人が多く集まる街となっています。
2.人口・世帯数
23区内順位 | ||
人口 | 689,059人 | 5位 |
面積 | 49.90㎢ | 4位 |
人口密度(1㎢あたり) | 13,809人 | 17位 |
世帯数 | 334,853世帯 | 6位 |
1世帯あたりの人数 | 2.06人 | 1位 |
男女比率(女性割合) | 49.7% | 21位 |
15歳未満の割合 | 11.3% | 6位 |
65歳以上の割合 | 21.1% | 9位 |
外国人の割合 | 5.6% | 8位 |
平均年齢(高い順) | 44.8歳 | 12位 |
平均年収 | 3,932万円 | 20位 |
【参照元】
※1 東京都総務局統計部「東京都の人口(推計)」、「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」の資料をもとに2023年1月1日時点で算出
※2 国土交通省「令和4年度_第11表市区町村別データ」の資料をもとに2023年3月1日時点で課税対象所得を納税義務者数で除して算出
※3 23区内順位は全て数字が大きい順番
江戸川区は1世帯あたりの人数が1位となっており、比較的ファミリー層が多く住む地域と言えます。人口は約69万人と多い方ですが、人口密度は17位なので、都内では住宅の密集度合いは低い方です。
3.物価
23区内順位 | ||
住宅地の1㎡あたり地価 | 38万円 | 21位 |
新築マンション㎡単価 | 129万円 | 15位 |
新築マンション40㎡計算 | 5,160万円 | 15位 |
新築マンション70㎡計算 | 9,030万円 | 15位 |
1R,1K,1DKの賃料 | 70,000円 | 23位 |
2LDK,3K,3DKの賃料 | 157,000円 | 22位 |
【参照元】
※1 国土交通省「令和5年地価公示」の資料をもとに2023年時点で算出
※2 HOME’S「新築マンション平均価格(2023年1-5月)」、「東京23区の家賃相場情報」の資料をもとに2023年8月17日時点で算出
※3 23区内順位は全て数字が大きい順番
新築マンションの㎡単価は129万円で、70㎡換算で9,030万円という結果になりました。
都心へのアクセスが良い東京メトロ東西線沿いは人気が高く、西葛西や葛西駅の周辺は比較的価格が高いです。
新築マンションの価格は15位となりましたが、駅から離れた地域が多く、場所を限定しなければ安く住むことも可能です。
4.生活環境
23区内順位 | ||
公園面積 | 7.83㎢ | 1位 |
公園面積の割合 | 15.7% | 1位 |
公園の数 | 515 | 5位 |
犯罪認知件数 | 3,605件 | 19位 |
1㎢あたり犯罪認知件数 | 72件 | 8位 |
保育園待機児童数 | 0人 | 1位 |
地盤スコア | 49.81 | 19位 |
【参照元】
※1 東京都建設局「公園調書」の資料をもとに2022年4月1日時点で算出
※2 警視庁「市区町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」の資料をもとに2022年1月から12月の合計値で算出
※3 23区内順位は犯罪認知件数、1㎢あたり犯罪認知件数、保育園待機児童数は数字が小さい順番で、その他は数字が大きい順番
江戸川区には葛西臨海公園、篠崎公園をはじめ、たくさんの公園があり、公園面積、公園面積の割合ともに1位となっています。水辺の景色も豊富で、自然に恵まれた環境といえます。
一方防災面では、区全体が低地となっている関係で地盤が弱く、水災のリスクも高いです。
5.主要な駅
駅名 | 1日あたり乗降者数 | 首都圏内順位 |
小岩 | – | – |
葛西 | – | – |
西葛西 | – | – |
【参照元】
※1 株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所「駅別乗降者数総覧2022」の資料をもとに算出
※2 首都圏内順位は数字が大きい順番
小岩駅はJR総武線(各駅停車)が通っていて、秋葉原や飯田橋などに直通しています。
葛西駅、西葛西駅は東京メトロ東西線が通っています。いずれも快速は止まりませんが、大手町まで20分弱で着きます。
江戸川区には合計で11の駅が通っており、1㎢あたりでは0.22駅です。東西に京成線、JR総武線、都営新宿線、東京メトロ東西線、JR京葉線が通っていますが、駅の数が少ないうえ、南北を結ぶ路線はなく、駅からの距離が遠い地域も多いです。
6.主要な商業施設
Ario葛西 | ・東葛西にあるロードサイドの商業施設 ・イトーヨーカドーを核テナントに、専門店が入る |
ホームズ葛西店 | ・東葛西にあるロードサイドの商業施設で、Ario葛西に隣接している ・島忠ホームズを核テナントに、専門店が入る |
イオン葛西店 | ・西葛西にある商業施設で、イオンを核テナントに、専門店が入る |
7.主要な公共施設
葛西臨海公園 | ・約78万㎡の広さを誇る東京23区で2番目に大きい公園 ・観覧車、水上バス、園内を周遊するパークトレインなど乗り物も豊富 |
篠崎公園 | ・約30万㎡の広さを誇る東京23区で10番目に大きい公園 ・野球場やテニスコートの他、遊園広場などがある |
江戸川区立中央図書館 | ・江戸川区内の図書館で蔵書数が最も多く、区立図書館の中心となっている施設 |
8.江戸川区の良いところ
(1)自然豊かな環境
江戸川区は葛西臨海公園をはじめとして公園の数が非常に多いです。江戸川や荒川、東京湾など、水辺の景色も豊富で、豊かな自然環境の中で生活することができます。
(2)物価が安い
東京都心からそれほど離れていない地域の中では、比較的手頃な家賃や不動産価格になっています。住まい探しにあたっては他の地域に比べて予算に合わせやすいです。
(3)手頃な飲食店が多い
江戸川区は1世帯あたりの人数が多い庶民的な雰囲気の街ですので、リーズナブルな価格で、ファミリーでも入りやすい店が多いです。
(4)庶民的な雰囲気
昔からの下町なので、庶民的で敷居の高さを感じないところが街の魅力の一つです。
(5)子育て世代が多い
子どもの割合が高く、ファミリー層が多いです。一般的なサラリーマンが多いので、背伸びせずにのびのび暮らせます。
9.江戸川区の気になるところ
(1)鉄道インフラが弱い
東西に鉄道が通っていますが、南北の縦移動には車やバスが必須で、地域によっては駅からかなり離れています。23区内では珍しく「陸の孤島」となっている地域が多いです。
(2)電車が混む
上り電車は千葉からの通勤客も乗っているため、ラッシュ時はかなり混雑します。
特に通勤時間帯の東西線はかなりの混雑で、木場〜門前仲町〜茅場町の区間になると体を押し込んでなんとか乗車できる、というレベルの混雑が日常的です。満員電車が苦手な人は避けた方が無難です。
(3)野暮ったい雰囲気
下町ならではの風情がある一方で、昔ながらの景観には古さや田舎っぽさもあります。都会的で洗練された雰囲気はあまり感じられません。
(4)治安面での不安
犯罪認知件数など、統計上の治安は悪くないですが、街中を歩くとガラの悪い人がそれなりにいます。生活水準の高くない人も多く住んでいますので、数字に現れない治安の面で注意が必要です。
(5)地盤が悪い
もともとが低地ですので、地盤は23区の中でもかなり悪いです。海抜も低いため、地震と水害の両方のリスクに対して十分な備えが求められます。
10.江戸川区ではこんな生活が実現できる
(1)仕事のオンオフをつける
都心のオフィス街や、副都心のオフィス街・大規模商業エリアとは違う雰囲気があります。土地柄、物流倉庫などが多いものの、住宅地としての雰囲気があるので、仕事のオンオフをはっきりさせやすいです。
(2)一戸建てに住む
江戸川区は人口密度が23区中17位と、都内では低密度の住宅街となっています。物価も比較的低いので、広々した敷地に一戸建てを建てる夢も叶えやすいです。
(3)地元の居酒屋で飲む
小岩には飲み屋街があり、安い居酒屋がたくさんあります。日常生活の中でディープな雰囲気の飲み歩きが楽しめます。
(4)河川敷でランニング
江戸川区には荒川や中川、江戸川などたくさんの川があります。川沿いで景色を楽しみながらのランニングができます。
(5)葛西臨海公園でピクニック
葛西臨海公園は広大な芝生があり、緑や海を見ながらピクニックを楽しむことができます。自然豊かな環境で野鳥観察が楽しめる他、葛西臨海水族園も隣接していて、リーズナブルな入場料で気兼ねなく楽しめます。
11.江戸川区はこんな人におすすめ
(1)ファミリー世帯
(2)極力支出を抑えて生活したい
(3)下町感のある雰囲気が好き
(4)自然豊かな環境で生活したい
(5)千葉方面へのアクセスも重視したい
12.個人的な意見
江戸川区は自然豊かな環境とリーズナブルな不動産価格が魅力の街です。街中には郊外型の商業施設や大規模な公園がありますし、駅に近ければ都心へのアクセスも良好です。「郊外」と「都心」両方の利便性を併せ持った街といえます。
魅力のある街である一方で、デメリットもあります。昔ながらの下町に共通することですが、エリア的には川が流れている低地に位置していますので、防災の面ではある程度リスクを許容する必要があります。災害リスクは地域や物件ごとにそれぞれ異なりますので、許容できるかどうか、日常生活の中できちんと備えができるかどうか、よく確認しましょう。
江戸川区の中では葛西は比較的オーソドックスですが、それでも多少は独特の個性を感じます。小岩など、地域によってはさらにクセの強さを感じる街も存在していますので、街の個性を感じたうえで、好きになれるかどうかも十分に確認しましょう。
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