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住宅ローンの審査に通りやすい人とは?銀行の審査基準を解説

住まい

家を買おうとする時に悩ましいのはローンを組めるかどうかですよね。

正式な審査結果が出るまではドキドキしながら結果を待つことになります。

私も会社員として真面目に働いていますし、なんとなく貸してくれるだろうとは考えていましたが、いざ申し込んだ時は審査が通るかどうか、毎日心配になりました。

そこで今回は、元銀行員として実務に携わった経験から、銀行側から見た住宅ローン、すなわち住宅ローン審査の裏側を解説し、皆さんが審査を通すための重要なポイントについてをお伝えできればと思います。

住宅ローンの審査がどのような考え方で行われているかを知ることで、借り手である皆さんがするべき準備と、審査申し込み時に出すべき資料について理解していただけます。

【記事を書いた人】

ぴっちー
✔︎ 都市銀行で不動産担保評価実務経験10年以上
✔︎ 不動産売買契約は10回以上経験
✔︎ ファイナンシャル・プランニング技能士1級

1.銀行から見た「住宅ローン」とは?

銀行にとって住宅ローンとは何なのでしょうか?

一言で言うと「定型商品」です。
銀行が取り扱う数ある融資の中でも、高度な判断を必要としないよう、あらかじめ商品の枠組みや審査のルールを細かく設計して、そのルールに基づいてサービスを提供している商品、ということです。

法人向けの融資であれば、借り手が何に使うのか、資金使途は様々ですし、担保を差し出すかどうかも借り手の信用力次第です。金利も期間も返済方法も相対で合意すれば、特に決まりはありません。

その点、住宅ローンは資金使途が申込人やその家族が住む自宅用不動産の購入に限られますし、抵当権の設定は必須です。金利、期間、返済の仕方も銀行があらかじめ設定した選択肢の中でのみ選ぶことになります。

なぜ銀行が住宅ローンをこのような定型の商品にしているかというと、法人向けの融資などに比べて、1件あたりの取引金額が相対的に小さくなるからです。

住宅ローンは、取引条件を1件1件の個別の事情に合わせて対応していては、審査が複雑になり、コストが多くかかってしまいます。

そこで、商品の枠組みと審査のルールを設計することで、大量に処理できるようにしているのです。

重要なポイントは、商品内容だけではなく、審査のルールも定型化、単純化しているという点です。

法人向けの融資であれば、会社の今後の事業計画、過去の実績、経済環境、業界内での立ち位置、強み弱み、経営者の資質、従業員の能力、など様々な角度から分析されます。

そのうえで返済能力は十分か、仮に返済が滞った場合にどのように回収するか、といった点まで考慮したうえで貸出金額、期間、金利、その他の条件を決めます。

一方で、住宅ローンはその人のキャリアや能力、将来性などの定性的な部分は基本的に考慮しません。年収や勤務先といった、書面上で確認できる外形的な部分に基づいて審査が行われることになります。

銀行は長年の取引実績から、滞りなく返済してくれる人はどのような属性の人なのか、万が一の際に融資を回収しやすいのはどのような不動産なのかを把握していています。

過去の実績に基づいて、「延滞の可能性の低い」「延滞した場合でも回収しやすい」案件を評価し、審査を通しているのです。

そして、銀行がどのような属性を高く評価しているかは商品概要などを見ると「原則としてこういう先」などと分かりやすく記載されています。この条件に合致していれば審査は通りやすいですし、合致していない人は通りにくいという具合です。

銀行側から見ると、原則に当てはまらない属性は統計上、損失が発生しやすい先です。その部分において問題ないかどうかの判断が発生し、審査の目線は一段引き上げられることになります。

ここまで、住宅ローンが銀行の中でどういう商品に位置付けられているかを解説してきました。

ここからは、銀行側の事情を踏まえて、審査が通りやすい人、審査が通りやすい物件について解説していきたいと思います。

2.審査が通りやすい人とは?

それでは審査が通りやすい人について見ていきたいと思います。

まず審査手続きにおいて、銀行に提出する情報について見ていきましょう。

・氏名、性別、住所、電話番号
・生年月日、年齢
・現在の住居、居住年数
・職業
・勤務先(会社名、業種、設立年月日、資本金、従業員数)
・勤続年数
・職種
・役職
・定年
・直近年収
・自己資金
・既存借入の有無

ざっとまず並べてみました。
この中には自分自身ではどうにもコントロールできないことも混じっていますので、事前に理解しておくことで対策できる可能性のある項目に絞って解説したいと思います。

(1)生年月日、年齢

住宅ローンには必ず、「最終の返済が原則として満○歳未満」という条件があり、銀行によってまちまちですが、80歳から85歳に設定されているケースが多いです。

借入期間は最長35年と設定している銀行が多いのですが、最終の返済が80歳と規定されている場合、45歳を過ぎると最長の35年で借入することが出来なくなり、年齢が上がれば上がるほど借入できる期間は短くなります

銀行は年間の返済額を年間収入額で割ることで「返済比率」を計算し、審査の重要な指標としています。

年間返済額/年間収入額=返済比率

返済比率は低ければ低いほど審査は通りやすくなりますが、年齢が上がり借入できる期間が短くなると、年間返済額は増え、返済比率が高くなります。

また、最終返済が定年よりも何年も遅いような場合は、退職後でも返済できるかどうかを見られることになります。

審査の通りやすさという意味では30代まではそれほど問題になるケースは少ないと思いますが、年齢が40代以降の方は不利になる可能性があると覚えておきましょう。

(2)職業

職業に貴賎はありませんが、銀行が最もリスクが低いと判断するのは会社員(正社員)です。そして、勤務先が業歴が長く信用力の高い大企業であれば、審査の通りやすさは一番だと思います。

もしあなたがもともと超一流企業のエースとして活躍していた方で、満を持して起業、経営者としても順調にステップアップしているとします。素晴らしい実績ですし、能力という意味ではこれ以上ないと思います。

それでも、会社員(正社員)と比べて審査上どちらが有利かと言われれば会社員(正社員)です。先ほども触れましたが、銀行は能力で判断するのではなく、外形的な部分で判断するからです。

大企業の正社員と設立後間もない会社の経営者、ということだけで比較すれば、設立後間もない会社の経営者の方が今の収入を維持できる人の割合が低そうだ、というのは感覚的に理解できると思います。

もしも、銀行が審査の観点で見て、収入が安定している職業から、安定していない職業への転身を考えているのであれば、住宅ローンを組むのは収入が安定しているタイミングが良いでしょう。

(3)勤続年数

勤続年数も基本的には職業と同じ考え方です。

条件は銀行によりますが、例えば「原則として、給与所得者は勤続年数1年以上、給与所得者以外は勤続または営業年数3年以上」という具合に設定されている場合があります。特に、勤続年数1年以上、という条件は多くの銀行で見受けられます。

勤続年数は住宅ローンの審査上は長ければ長い方が有利、ということで間違いないと思われます。

仮にキャリアアップの転職であっても、転職の直後は転職前に比べて審査が厳しくなることが想定されます。可能であれば、住宅ローンは転職前のタイミングで組んでおくのがベターです。

(4)直近年収

年収は高ければ高いに越したことはありません。当たり前ですが、審査に通りやすいのは年収の高い人です。

あまりに高すぎたり、変動が大きい職業の場合は過去何年分かの収入証明資料を求められて、その中で一番年収の低い年を基準に審査される、ということがあるかもしれないですが、高いが故であればあまり問題にはならないでしょう。

年収が低いケースで心配されている方も多いと思います。

銀行の条件を見ると、「安定した収入がある方」「前年度の年収が○万円以上ある方」など記載ぶりは様々です。「前年度の年収が100万円以上ある方」という銀行もありましたので、年収が低い方でも申し込むことは出来るようになっています。

ただし、年収が低いケースで問題になってくるのは「返済比率」の考え方です。
銀行のその時々の体力や競争環境にもよりますが、審査上は返済比率35%〜45%を上限として、規定の返済比率を超えない金額を融資額の限度として運用しているところが多いのではないかと思います。

しかし、これも年収によって少し事情が変わります。

例えば、年収1,000万円の人が返済比率40%の住宅ローンを組むと、手取りが年額720万円だとして、返済額400万円(=1,000万円×40%)を引いても320万円が残ります。月に換算すると、住宅ローンを返済したあとも毎月27万円弱の余剰があるということです。

年収300万円の人が返済比率40%の住宅ローンを組んだ場合はどうでしょうか。手取りが年額240万円だとして、返済額120万円(=300万円×40%)を引くと120万円です。住宅ローンを返済したあとの余剰金は毎月10万円になります。自宅の維持費や水道光熱費、食費などを考えると、余裕があるとは言えない水準と判断されるでしょう。

このように、年収が低くなればなるほど、審査をするうえでの返済比率はより厳しく見られるため、年収が低い方は、高い方に比べて、その割合以上に借りられる可能性が低くなる、ということが言えます。

(5)自己資金

ほとんどの銀行では、物件の購入価額だけでなく、仲介手数料や税金などの諸費用も含めて借入の申込をすることが出来るようになっています。

ただし、借入金額は物件の購入価額までにした方が審査は通りやすいですし、金利などの条件も良くなりやすいです。

例えば同じ5,000万円の借入だったとしても、購入価額4,500万円と諸費用500万円の合計5,000万円全額を住宅ローンで申し込む人と、購入価額6,000万円と諸費用500万円の合計6,500万円のうち、自己資金を1,500万円用意したうえで5,000万円を借りる人であれば、後者のほうが延滞の可能性は低いと判断するのは、感覚的に理解していただけるでしょう。

ただし、ここではあくまで審査を通すこと、に主眼を置いて解説しています。
住宅ローンは数ある個人向け融資の中でもダントツに条件が良いので、資産運用を積極的にされている方であれば、自己資金は極力出さずに、借入はできるだけ上限額で借りる、という考えもあると思います。ここはまた別の論点ですので、別の機会に解説できればと思います。

(6)既存借入の有無

住宅ローン申込時点での既存借入は無い方が審査が圧倒的に通りやすいです。
特に消費者ローンやキャッシングなどを利用されている方は統計的に延滞発生率が高いというのは感覚的にも理解できると思います。

借入の内容によっては、信用力の低い先と判断されかねないですし、「返済比率」の算定においては返済額は既存借入も含めて計算されます。

既存借入は住宅ローンの申込前に返済できる分があれば、返済してから申し込みをするのがベターです。

また、金融機関は信用情報照会で他社の借入や延滞履歴を確認します。嘘はつかず、正確な申告をすることも重要です。

3.審査に通りやすい物件とは?

マンションイメージ

住宅ローン審査の通りやすさは、物件によっても変わります。

金融機関がここで見るのは、万が一返済が滞った場合に売却してどのくらいの債権を回収できるかどうかです。万が一の際にいくらで売れるか(担保評価)、そもそも買い手がつくか(流動性)の2点が重要なポイントです。

ここでもまず、審査手続きにおいて、銀行に提出する情報について見ていきましょう。

・物件所在地
・(マンションの場合)マンション名、部屋番号
・建物構造
・(マンションの場合)専有面積(一戸建ての場合)土地面積、建物延床面積
・建築年月日
・建築確認
・(物件種類によって)販売業者、仲介業者、建築業者、工事請負業者
・物件価額、諸費用

(1)面積

フラット35では融資の対象となる物件の面積について、一戸建て住宅は70㎡以上マンションは30㎡以上と規定されています。

銀行で細かく開示しているところはありませんが、フラット35の規定と同水準か、やや厳しい水準にしている銀行が多いはずです。

なぜなら、フラット35の条件から外れる物件となると、一般の個人が自宅用に借入をして購入することが困難になるからです。そうなると、法人が社宅や投資用として購入するか、個人であれば投資用ローン、もしくは現金一括で購入できる人に買い手が限られ、流動性が一気に落ちます。

銀行としてはババを引くことを避けるため、フラット35の条件に合わない物件は、審査に通りづらいと言えます。

では、面積はどのくらいあれば良いのでしょうか。

例えば新築マンションでは40㎡以上になるように設計されて売り出されることが多いです。
販売業者としては住宅ローンが組めない物件は売り出しづらいので、1戸あたりの面積は住宅ローンの規定に合うように設計しています。すなわち、マンションであれば40㎡以上あれば住宅ローンを申し込むのに問題は無い、と考えて良さそうです。

(2)建築年月日

建物には構造によってどの程度使用に耐えられるか、という耐用年数の考え方があります。

また、耐用年数といっても会計上、減価償却を計算するための法定耐用年数もあれば、銀行それぞれが審査上の規定として設けている耐用年数もあります。銀行によって方針が分かれるところではありますが、一つ言えるのは築年数が古い物件は、その分担保評価や流動性に問題が生じやすいため、審査においてはマイナス要因となる、ということです。

もう一つ、建築年月日で重要なポイントがあります。耐震基準の制度についてです。
1981年6月1日に建築確認時の耐震基準が厳格化されました。これよりも前の基準を旧耐震と呼び、それ以降の基準を新耐震と呼びます。旧耐震は耐震強度への不確定要素が強くなることから、その分担保評価や流動性に問題が生じやすく、審査においてはマイナス要因となります。

最近ではリノベーションされた古いマンションが売りに出されることもあります。築年数の古いマンションの中にも管理や修繕がしっかりされた、良質な物件はたくさんあります。私もヴィンテージマンションは好きですが、審査上はそういった点は考慮してもらえない可能性が高いと割り切りましょう。

(3)建築確認

銀行が融資をするうえで、物件の遵法性(=法律を遵守していること)は大前提です。
物件に一部でも建築基準法などに適合していない項目があれば、銀行が納得して決裁できるだけの説明が必要です。銀行の判断基準は、担保価値、流動性への影響に加えて、違法な物件に融資をした、という風評リスクがないことも重視します。

(4)その他の要素

一部の不動産会社では銀行との提携ローンを取り扱っていることがあります。
例えば新築マンションに提携ローンが設定されていれば、銀行があらかじめこの物件は融資するのに問題無い、とお墨付きを与えている物件なので、物件としては審査がとおりやすい、と言えるでしょう。

4.通りやすい条件から漏れてしまった場合の対処法

ここまで審査に通りやすい人、物件について解説をしてきました。
問題の無かった方は、今まで解説した銀行の考え方に沿ってご自身の信用力を維持しながら、是非物件探しを頑張ってください。

中には、いくつか引っかかりそうなポイントがあった、という方もいたと思います。その場合の対処法についてお伝えしたいと思います。

(1)計画を見直す

もしかしたら審査以前に、そもそも借入の計画に無理があった、という可能性もあります。
まずは客観的に考えて、「毎月この返済額だとどこかで資金ショートするかもしれない」「今の給料では返済していける自信がない」と感じるのであれば、それは審査を通す、という以前の問題ですので、まずは身の丈にあった資金計画について改めて考えてみましょう。

(2)時期を見直す

銀行はその人自体ではなく、あくまで住宅ローンを申し込んだ時点での属性(「年齢」「職業」「勤続年数」など)で審査をすることはお分かりいただけたと思います。

もしあなたが今後のキャリアについて明確な目標や、スケジュールをお持ちであれば、審査が有利なタイミングはいつなのか、そのタイミングで住宅ローンを申し込めないか、一度検討してみましょう。

今は30代でいつか家を買いたいと考えている方も、完済時の年齢を考えると前倒しで住宅ローンを利用する計画をした方が良いかもしれません。

また、既存借入があったり、自己資金が十分に貯まっていないという方は、計画を立てて少しずつ状況を改善していくことも有効です。

(3)審査に通すための書類を準備する

もうすでに購入したい物件があり、住宅ローンの審査に出してみるしかない、という方もいるでしょう。
そのような場合は資料を準備して書面で提出しましょう。

銀行によっては担当者と面談、電話などでやりとり出来るケースがあるかもしれません。事務連絡程度のことであれば口頭で説明すれば問題ないですが、審査の判断に関わりそうなことであれば、せめてメールで伝えましょう。出来れば資料を提出するのがベターです。

なぜかというと、やりとりしている担当者は審査担当者ではない場合が多いからです。詳しく伝えたつもりでも、担当者がきちんと理解して、審査担当者に正確に伝えてくれるとは限らないからです。
自分がコントロールできないところで不利にならないためにも、私は返済能力に問題がありませんよ、と伝わる資料を提出しましょう。

具体的には、いつ、どのような資料を提出すれば良いのでしょうか。

住宅ローンの申込時に必要な資料はあらかじめ銀行に決められています。審査自体は、それらの資料提出をもって受付をしてもらうことができます。その中で何らかネックになる項目があった場合、銀行の審査はどのようなに進むのでしょうか。

銀行内で審査をするための材料が不足している場合、銀行から「追加でこういった資料をお願いします」というリクエストがあるケースもあります。

それならその時点で出せば良いのですが、たまたま銀行が繁忙期で1件1件にかけられる時間が少なかったり、担当者が熱心でないために材料不足のまま不適格と判断されて、断れる可能性も否定できません

そんなことにならないよう、こちらから先手を打って「この書類も審査の中で確認していただきたいので、一緒に提出します。」などと伝えて、ネックになりそうな部分については、申込段階で他の資料と同時に提出してしまいましょう。

資料を提出して不利になることはまずありません。銀行側から求められていないのに、あえて不利になるような資料を提出する必要はありませんので、自分の返済能力をアピールできる資料だけを提出すれば良いのです。

銀行側からしても、積極的に情報を開示してくれる先は印象として悪くは感じないですし、追加のヒアリングもしやすいと思います。

ここからはケース毎に必要な資料を見ていきましょう。

① 申込時点での年齢が高く、定年後も返済が続く場合

銀行が検証したいのは退職後に「まとまった返済ができるか」「年金収入だけになった場合に返済できるか」という点です。

「退職金の見込額」「公的年金の受取予定額」に加えて、「個人年金保険の受取予定額」など、退職後にどのような収入が見込まれるかを説明しましょう。勤務先に再雇用制度などがあれば、定年後も仕事が継続できることを証明することも大事です。

② 会社経営者や自営業者など、収入が不安定と判断される可能性がある場合

銀行が検証したいのは「事業が継続できるか」「万が一、事業が継続できなくなった場合に返済が続けられるか」という点です。

特に自営業をされている方などは、実態以上に経費を多く計上しているケースも多いと思います。決算書だけでは伝えきれない部分は追加で説明資料を準備しましょう。

資料を準備するうえで重要な観点は「資料を出し過ぎない」「要点を事業の継続性に絞る」ということです。

住宅ローンは審査にかけられる時間が限られていますので、何十ページにわたる資料は読んでもらえない可能性があります。

また、「これから事業が成長してこんなに大きくなります」という説明はあまり効果はありません。銀行が見ているのは「成長性」ではなく「安定性」ですので、その観点から外れないように注意してください。

③ 前年度の年収が低い場合

銀行が検証したいのは「前年度の年収が低い理由」「今年度以降の年収の見込み」です。

例えば、産休育休などの特別な事情がある場合は、その事情が発生する前の年収証明を提出することで、平年度の年収を加味して審査をしてもらえる場合があります。申込時点で給与水準が戻っているのであれば「直近の給与明細」を準備しましょう。

また、前年までは無かったものの、今年度からは確定している収入(親からアパートの贈与を受けて、不動産賃貸収入が入っている、等)があれば、審査で加味してもらえる可能性はありますので、資料をつけて申告してみましょう。

単純に年収が低いだけの場合でも、対処法はあります。夫婦の場合、銀行によっては、配偶者の年収を加味して審査をしてくれる収入合算の制度を用意しています。銀行によっては親や兄弟など、同居している親族の収入も考慮される可能性はありますので、世帯収入として説明することも検討しましょう。

④ 勤続年数が1年未満など短い場合

銀行が検証したいのは「勤続年数が短い理由」「今後安定した収入が見込めるか」です。

転職をしたのであれば転職の理由が記載された「職務経歴書」で勤続年数が短くなっている経緯を説明しましょう。

今後の収入見込みは転職先から出された「採用通知書」「労働条件通知書」に加え、転職先での「給与明細」「賞与明細」の提出により、問題ないことを説明しましょう。

⑤ 既存借入がある場合

銀行が検証したいのは「既存借入の理由」「既存借入と住宅ローンを並行して返済できるか」です。

学生時代の奨学金や、自動車ローンなど、借入理由が明確なものであれば、借入条件(毎月の返済額、金利、最終返済日)が記載されている資料を提出しましょう。

キャッシングや消費者ローンが残っていて、申込前の返済が難しい場合は、特に借入金の使い道借入理由を丁寧に説明し、返済計画を伝えましょう。

⑥ 自己資金を入れずに諸費用込みで借入をする場合

銀行が検証したいのは「自己資金を入れない理由」「資産があるか」です。

本当に無いのであればあえて無いことを伝える必要はありません。自己資金があるけれども、「子供の教育のためにまとまった資金は確保しておきたい」など、あえて自己資金を入れずに借入をするケースもあるとお思います。

特に限度額まで借入をするような場合は、その人が本当に出せないのか、あえて出さないかで返済能力もかなり変わってくるはずです。資産はあるけど、あえて自己資金を入れない場合は「預金残高」「証券会社の時価評価残高」など、金融資産を中心に資料を準備しましょう。

⑦ 物件の面積が狭い場合

面積の測定には壁心と内法という2つの方法があり、方法によって数字が変わります。面積が狭い場合は測定の方法が壁芯か内法か、事前に不動産会社に確認しましょう。

住宅ローンの審査で使用する面積は「壁心面積」が一般的です。壁心面積は壁の中の中心点から計算するので、壁の内側から計算する内法面積よりも若干広くなります。

そこまで調べて、正確な情報を提出したら、あとは銀行の判断次第です。

⑧ 物件の築年数が古く、旧耐震である場合

旧耐震でも耐震診断をして問題無いことを確認していたり、耐震補強をしている場合があります。不動産会社に修繕履歴などを確認しましょう。

古いマンションでも管理体制がしっかりしているところは実施しているケースが多いはずです。なんらかの資料を入手できるのであれば、銀行にも提出するようにしましょう。

⑨ 建築基準法に抵触している場合

不動産はものによってまちまちですので、個々に深い事情があるケースも数多く存在します。

過去の経緯から結果的にやむ無くそうなっている物件もあるかと思います。不動産会社に確認して、現況や経緯を説明できる資料があるか、相談してみましょう。信頼できる方であれば、不動産会社の営業担当者から銀行に直接説明してもらうのが良いかもしれません。

5.まとめ

いかがだったでしょうか。

記事で少しだけ触れましたが、住宅ローンは数ある融資の中でも抜群に条件の良い融資です。私の個人的な考えとして、資産形成に様々なメニューがある中でも「住宅ローン」を使わない手はないと思っています。

少し難しくなりますが、借入金を原資に収益を狙うことを「レバレッジを効かせる」と言います。

住宅を買うことの直接的な目的は収益を狙うことではありませんが、結果的に収益を狙うことも可能です。

その件はまた別の記事に詳しく記載したいと思いますので是非参考にしてください。

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